研究概要 |
非摂動くりこみ群を用いた自発的対称性の破れについての新しい解析を進めた。ひとつは有限密度のゲージ理論におけるカイラル対称性の破れである。この場合、ローレンツ不変ではない状態についてβ関数を評価することになり、生成される有効相互作用がローレンツ不変でなくなるのでその効果を調べた。また、1次元の長距離相互作用のある系について、拡張されたイジング模型を用いた解析を進め、局在相転移の感受率についての上限と下限の予想を数値的に確認した。 Faddeev模型のHopf charge Qのソリトン解のエネルギーはQの3/4乗に比例する上限および下限をもつ.本研究ではいくつかの試行関数についてのエネルギーを数値的に調べて,上限に現れる比例係数の値についての知見を得た。バリオン数1のSkyrmionのプロファイル関数が持つべき数学的性質を分析し,その性質を満たしている試行的プロファイル関数が従来得られていた最小エネルギーよりも小さいエネルギーを与えることを示した。Skyrme模型のdomain wall的な解析解を得た。 素粒子物理の多くの問題は階層性に絡むが、これに対して何らかのダイナミクスによる自発的な構造として理解するという立場で研究を進めてきた。したがって場の量子論の繰り込み群的な特性の研究という側面も同時に併せ持つ。今年度は、超対称標準模型および標準模型のヒッグスセクターの階層性問題を解消もしくは緩和する新しい現象論的な模型についての研究を行い、国際会議SI06およびSCGT06において発表をおこなった。現在、関連する2編の論文を投稿中である。素粒子の階層的質量構造を導くダイナミクスの現象論的研究も行った。
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