研究代表者・青山は、量子力学において近年に発見されたN重超対称性(N-fold supersymmetry)の理論を発展させた。二の対称性は、青山を含むグループによって、1次元量子力学で非対称2重井戸型ポテンシャルの場合に発見された。これまで、その他の場合に、同様の対称性が存在するかどうかは不明であったが、本研究により、様々なことが分かってきた。その第1は、周期型モデルから始まる、いくつかの新しいモデルでのN重超対称性の発見である。第2は、これらのモデルが全て属する「A型」と呼ばれるモデルの発見である。このA型N重超対称性を持つモデルについては、その代数構造が完全に解き明かされ、可能なモデルを完全に分類することが可能となった。これにより、N重超対称性の基本構造が明らかになったと言える。 研究分担者・山本は、超対称標準模型に弱電磁トリプレットヒッグス場を導入して、アフレック・ダイン機構によるレプトン数生成について詳しく調べた。生成されたレプトン数は弱電磁スファレロン過程によって、一部分バリオン数に変換される。この研究によって、従来考えられなかった、複数のヒッグス場のコヒーレント運動が起きるパラメータ領域が存在し、それによって弱電磁スケールよりずっと大きなエネルギースケールで有効なレプトン数が生成されることが明らかになった。特にこの場合、インフラトン崩壊による熱的効果を受けないので、パラメータ領域を強く限定しなくても、バリオン数生成のために十分なレプトン数が得られることが、従来のアフレック・ダイン機構にはない、特徴的な点である、またこの模型では、レプトン数生成とニュートリノ質量およびレプトンフレーバー変換過程が関係づけられ、このような現象論的問題についても分析した。
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