研究概要 |
東島が中心となって、非摂動的くりこみ群方程式の固定点理論を解析した。2次元場の理論の固定点理論は、カラビ・ヤウ多様体になることが知られているが、3次元場の理論では、(異常次元を含む)場の全次元がゼロの場合には、固定点の理論がアインシュタイン・ケーラー多様体になることを見いだした。更に、その大きさだけに関するくりこみ群を解くことにより、スカラー曲率が正の場合には、この固定点が紫外固定点であることが分かった。 細谷を中心とするグループは、ゲージ場とHiggs場を高次元ゲージ理論のなかで統一し、量子効果により対称性を破る機構(Gauge-Higgs unification,細谷メカニズム)を電弱相互作用に適用した。特に、Randall-Sundrum時空上で統一することにより、ヒッグス粒子の質量が120GeVから290GeVになることをしめした。 窪田を中心とするグループは、SNOにおける荷電ならびに中世カレントによるニュートリノ実験での輻射補正の研究をおこなった。荷電カレント実験についてのKurylov et al.の計算では、Gamow-Teller遷移におけるG_A/G_V比に対する補正を,Fermi遷移における補正ですり替えていることを数値的に明らかにした。中性カレント実験における計算では,Kurylov et al.の計算は理論的に誤りであり,正しい計算方法を提示し,具体的な数値計算をおこなった。 量子重力に関しては、見目が中心となり、球対象で静的なブラックホールが持っているエントロピーを、Brick Wall正則化を用いて計算した。 中原を中心とするグループは、カルタン分解をもちいた量子アルゴリズムの最適化をさらに発展させ,ユニタリー行列に置換行列をかけて,さらにアルゴリズムを短時間で実行させる「ワープドライブ」の方法を完成した。またNMRにおける回転座標系へのゲージ変換を厳密に扱い、過去の研究であいまいにされていたいくつかの問題を統一的に解決した。NMRで人工的にデコヒーレンスを発生する方法を開発し,またそれを抑制する方法の正当性を実験家とともに確認した。
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