対称性の自発的破れを持つ系と非摂動論的方法

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13135217
• 研究機関: 愛媛大学
• 研究代表者: 柏 太郎 愛媛大学, 理学部, 教授 (30128003)
• 研究分担者: 川村 嘉春 信州大学, 理学部, 助教授 (10224859) ; 江沢 康生 愛媛大学, 理学部, 教授 (30036371) ; 井町 昌弘 山形大学, 理学部, 教授 (70037208)
• キーワード: 経路積分 / 補助場 / 繰り込み群 / テータ項 / 高階重力理論 / 高次元時空 / 大統一理論 / オービフィールド

研究概要

補助場の有効性を4体フェルミ相互作用の場合に調べた。(i)南部-Jona-Lasinio模型において、補助場の高次効果を取り入れたギャップ方程式を調べ、高次効果(=量子効果)が4次元では対称性を回復する方向に働くことを示した。(ii)グラスマン積分の4体項を持つ場合に関して補助場の効果を調べた。模型は、いわゆる作用の二回微分がゼロとなる領域(火線と呼ばれる)を含むことがわかり、こうした領域では、通常のガウス積分を核とする鞍点法に代わり、エアリ関数を核とした計算を用いることにより、補助場の高次効果を取り入れることが出来て、結果がより正確な値に近づくことを確かめた。(柏)
(i)テータ項を含む$CP^{(N-1)}$格子場の理論における複素ボルツマン因子の問題と「最大エントロピー法(MEM)」の有効性を検討した。(ii)Azcoitiら(Phys.Rev.Letters,89,(2002),14601.)が提案した複素ボルツマン因子を純虚数にして行う分析法について検討している。特に弱結合領域での振る舞いを調べている(井町)
(i)f(R)型、およびRicciテンソルの2乗に依存する高階重力理論の正準形式の定式化を行った。前者の場合にはBrane時空に適した形にした。(ii)高階重力理論に対する通常の定式化とPalatiniの方法との関連付けを行った。(iii)高階重力理論による宇宙のevolutionを解析的に、また最新のデータをinputとして数値的に調べた。後者については、上記2つの方法の比較も行った。(江沢)
(i)高次元時空上の大統一理論の構築・余剰次元として1次元オーピフォールドを持った5次元時空上の大統一理論の境界条件の分類と実現可能性について研究した。(ii)異常なU(1)を持つ超弦理論の現象論的側面の研究・タイプIの超弦理論において異常なU(1)のD項に関する一般公式を導き、その現象論的意味合いを議論した。(川村)

研究成果

• [文献書誌] J.Kashiwa, T.Sakaguchi: "Caustics in the Grassmann Integral"Progress of Theoretical Physics. 110・3. 589-603 (2003)
• [文献書誌] T.Kashiwa, T.Sakaguchi: "Auxiliary Field Method in 4- and 3- dimensional Nambu--Jona-Lasinio Models"Physical Review. D68・6. 065002-1-065002-9 (2003)
• [文献書誌] Y.Ezawa, H.Iwasaki, M.Ohmori, S.Ueda, N.Yamada, T.Yano: "Cosmology in a higher-curvature gravity"Classical and Quantum Gravity. 20・22. 4933-4942 (2003)
• [文献書誌] M.Imachi, Y.Shinno, H.Yoneyama: "Maximum Entropy Method Approach to the $\teta$-term"Progress of Theoretical Physics. 111・3(to appear). (2004)
• [文献書誌] N.Haba, M.Harada.Y.Hosotani, Y.Kawamura: "Dynamical rearrangement of gauge symmetry on the orbifold"Nuclear Physics. B657. 169-213 (2003)
• [文献書誌] Y.Kawamura: "Cubic Matrices, Generalized Spin Algebra and Uncertainty"Progress of Theoretical Physics. 110・3. 579-587 (2003)