研究課題/領域番号 |
13135224
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
北沢 良久 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (10195258)
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研究分担者 |
湯川 哲之 総合研究大学院大学, 教授 (20110091)
石橋 延幸 筑波大学, 物理学系, 教授 (70211729)
磯 暁 大学共同利用機関法人, 高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所, 助教授 (20242092)
青木 一 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (80325589)
浜田 賢二 大学共同利用機関法人, 高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所, 助手 (10212151)
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キーワード | 行列模型 / 超弦理論 / 非摂動効果 / 量子重力 / 超対称性 |
研究概要 |
超弦理論は重力を含む素粒子の統一理論として最も有望な理論である。この理論は重力を含む事からも分かるように、素粒子の相互作用を記述するのみならず、時空構造や宇宙の生成を議論することのできる理論となっている。 しかしながら、現在の超弦理論の定式化では、このような非摂動的な時空の振る舞いまで記述できる定式化にはなっていず、何か本質的に新しい方法が必要と考えられている。このような方法の候補として提案されたのが、行列模型である。行列模型は、物質だけでなく時空も同時に一つの行列により記述する定式化であり、数年前に提案されていらい多くの研究がなされてきた。 この科学研究費により研究では、この行列模型を用いて超弦理論の非摂動的な効果の研究を行う事を目的としている。とくに、その中でも、時空の生成や生成された時空の安定性などの研究が中心の課題である。 平成16年度は、この流れに沿い、行列模型で現れる時空の安定性、その時空の上での相関関数の計算などを行った。 より具体的には、行列模型の古典解として知られているある種の量子的な空間(非可換空間)の安定性をループ計算により調べた。この結果、4次元的なひろがりをもつ時空が安定であるとの感触を得る事ができた。またこのような時空の上でのウイルソンループ演算子の相関関数を計算し、非可換幾何学で期待されている紫外と赤外領域のミキシングが実際実現されていることがわかった。このことは行列模型に重力が含まれている事の証拠の一つと考えられる。また、この行列模型で弱い超重力場が背景時空に効いてきたときの効果を表す物理量として頂点演算子とよばれる演算子が知られているが、われわれはこの演算子を超対称性の多重項として構成することに成功した。さらにこの結果を用いて、弱い超重力場の凝縮の効果も議論した。さらに、非自明なインデックスをもつゲージ場の配位が、自明な配位に比べて安定であることもわかった。この結果はダイナミカルに非自明なインデックスが発生することに対応しており、私たちの時空でのカイラルフェルミオンの起源の説明につながると考えられる。
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