1.ニュートリノ振動の研究 擬ディラック型のニュートリノ質量の場合のニュートリノ振動について包括的な研究を継続して行った。フレーバー間の混合の小さい場合について調べ(発表済み)、その結果を実験結果と比較検討した。 また、林が、1987年に提案した3世代混合を2世代の問題として実効的に扱う方法を定量的に検討し、補正項の計算や補正項から始めて現れるCP対称性の破れについて調べた。この結果は論文として発表の予定である。 2 B中間子系における量子力学の基礎の検証 中性B中間子対の系におけるEinstein-Podolsky-Rosenパラドックスの問題を調べた。この系に対して、局所決定論の立場から導かれるBell型不等式の中に、一定の仮定の下に、原理的には実験的検証が可能なものがあることがわかった。この結果については、定量的解析を行った後に発表の予定である。 3 高次元ゲージ理論に関する研究 林らは1998年に、高次元ゲージ理論では、4次元ゲージ場とヒッグス場を高次元ゲージ場として統一的に扱え、階層性の問題を高次元ゲージ対称性により回避できることを示した。今年度はこのシナリオに基づき、量子補正によるゲージ対称性の自発的破れやフェルミオン質量の力学的生成について調べた。この結果は現在投稿中の論文として発表されている。
|