研究課題
本研究は、インドネシアのスマトラ島に、京都大学宙空電波科学研究センターが建設した赤道大気レーダー装置(EAR)を中核とし、申請者らがこれまでに蓄積してきたレーダー信号処理ならびに環境計測に関する知識と経験を集約することにより、従来の手法を用いた単独のレーダーによる観測の限界を越えた高度な利用技術を開発し、EARの価値を飛躍的に高めることを目的とする。第3年度である本年度は、主に以下の分野の技術の開発・検討を行った。1.マルチスタティック受信システムの開発と実験(佐藤)2004年9月に、EARの西および南1.3kmの地点に、それぞれ10本の八木アンテナと、個々の受信アンテナに信号処理装置を付加した構成によるディジタルビームフォーミング方式受信専用サブアレイを設置し、約1週間のマルチスタティック連続観測を実施した。各アンテナで受信された生データをすべてハードディスクに記録して持ち帰り、現在解析を進めている。昨年度より開発している、観測の支障となる山などからの不要反射波(クラッタ)を抑圧する手法を適用し、その有効性を確認した。また各アンテナの出力を、強い散乱体を基準とした位相較正により同相加算する手法を開発し、高度および送信ビーム毎に受信アレイを自動的に位相調整することに成功した。2.降雨および乱流の近距離相関の研究(前川)信楽MU観測所内で通信衛星電波強度の計測により降雨および大気乱流の近距離相関特性を計測してきた。ノートパソコンを用いた可般性の高い計測システムを開発し、2003年1月以来EAR観測所において連続観測を行っている。これまでの解析により、降雨強度と降雨域の大きさに明確な逆相関があることが明らかとなり、強い降雨の局所性が定量的に実証された。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (4件)
Annales Geophysicae Vol.22, No.11
ページ: 4005-4012
Proc.2004 Int.Symp.on Antennas and Propagation
ページ: 1357-1360
Proc.2004 IEEE AP-S Int.Symp. No.65.9(CD ROM版)
Proc.2004 IEEE AP-S Int.Symp. No.79.4(CD ROM版)