研究概要 |
従来から作製してきている抗アクアポリン抗体パネルを、ウサギとモルモットを免疫して拡大し、班員などへも供給した。現在までにAQP1,2,3,4,5,6,7,9の抗体を得ている。さらに、AQP11、AQP12、AQP10、AQP8抗体の作製も進行中である。これらの抗体を使い、ラット組織で、クリオスタット切片(5-10μm厚)、共焦点レーザー顕微鏡(光学的スライス像)、凍結準超薄切片(0.3〜1.0μm厚)などを材料に、生体内アクアポリンマップの作成を引き続きおこなった。例えば、気道のなかでも嗅覚に関係し、神経の再生が絶えず起きている鼻腔の嗅部について検討し、アクアポリンのユニークな局在パターンを観察した。また、トランスロケーションにより水吸収能調節されるアクアポリン2(AQP2)の細胞内動態の解析も引き続きおこなった。ヒトAQP2を発現させた培養上皮細胞(MDCK細胞)をモデル系として、フォルスコリンによりcAMPレベルを上昇させて細胞膜へのトランスロケーションをおこし、洗浄後、細胞内のコンパートメントへ回収される過程を追跡した。その結果、細胞膜のAQP2はまず細胞内EEA1陽性の初期エンドソームへと移行した。ついで、これよりは小型で、既却のオルガネラマーカーとは共局在しない、核上部から頂部細胞膜にかけて存在する独自のコンパートメントへ戻るのが判明した。初期エンドソームからこの独自のコンパートメントへの移行は、P13キナーゼ依存性であった。
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