研究課題/領域番号 |
13137205
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
光岡 薫 京都大学, 低温物質科学研究センター, 助教授 (60301230)
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研究分担者 |
藤本 和 福井県立大学, 看護福祉学部, 教授 (50159125)
木寺 詔紀 横浜市立大学, 大学院・総合理学研究科, 教授 (00186280)
藤吉 好則 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80142298)
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キーワード | アクアポリン / 電子線結晶学 / クライオ電子顕微鏡 / 二次元結晶 / AQP4 / AQP3 / 立体構造解析 / 電子回折 |
研究概要 |
昨年度に作製できたAQP4の二次元結晶について、結晶内の分子のパッキングを決定した。その結果、二枚の脂質二重層がAQP4の細胞外の相互作用により重なった、特殊な二次元結晶であることがわかった。また、結晶の50%くらいは結晶格子二層が半分ずれて重なっているが、AQP4の細胞外での相互作用が弱いため、その他はランダムにずれていることが明らかになった。 そこで、そのような多様な結晶から二層が半分ずれたもののみを選んで解析するため、電子回折図形と電子顕微鏡像を同じ結晶から続いて撮影して、電子顕微鏡像から分子パッキングを決定し、その結果半分ずれていることがわかったものの電子回折図形のみを用いて、構造因子の強度を決定した。このような同じ結晶からの二種類のデータ収集を可能にする電子顕微鏡試料作製法を開発し、論文に報告した。これは、カーボン膜二枚に試料を挟み込むことにより、試料の帯電による電子顕微鏡像の移動を抑えることで、高い確率で解析に用いることができる電子顕微鏡像を得る方法である。 このようにして求まった構造因子から、分子置換法により原子モデルを決定した。3.2Åの分解能で構造解析を行うことができ、R値が28.3%でfree Rが33.8%の原子モデルを得ることができた。現在、このモデルを用いて分子動力学シミュレーションなどを進めている。また、二次元結晶内の分子のパッキングは、AQP4の細胞内での局在を反映していると強く示唆するデータがあり、その検証も進めている。 これらのAQP4の構造解析と平行して、AQP3の二次元結晶化も進めているが、現在のところ二次元結晶は得られていない。しかし、AQP3に関してもある程度の量のタンパク質は得ることができているので、結晶化の進展を期待している。
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