1、AQP11(以前AQPX1といっていたものでnomenclature committeeで認められた名前がAQP11になった)のノックアウトマウスがヘテロ同士をかけあわすことで作成された。ヘテロは異常を示さなかったがホモは成長障害があり生後4週でほとんどが死亡した。死後解剖したところpolycystic kidneyであり死ぬ直前の4週令の血液検査で高度の腎不全と高カリウム血症と腎性貧血を認め、死因は腎不全と考えられる。腎不全は生後1週からすでに認められる。組織学的検索ではkidney cystsは3週令より認められる。それ以前では腎臓の近位尿細管のswellingが顕著であり、この変化は胎生17日にすでに認められる。3週令まではcystはできないがswollen cellsがtubular ectasiaに繋がり、最終的にはcystになると考えられる。それではswollen cellになにが蓄積しているかが問題であるが、ガスクロマトグラフィーを含めた分析化学的検討を考慮している。AQP11が欠損すると細胞からグリセリンなどの浸透圧物質がくみ出せないため細胞内に蓄積して水をひきよせる機構が想定される。蓄積物質が同定できればAQP11がそれを通すかどうかを検討できる。成長障害は腎不全によることが考えやすいが消化管での吸収障害による可能性もある。 2、線虫のゲノムには新規水チャネルファミリーが3つあるが1つはpseudogeneであったので2つについてそれぞれのプロモーターにGFPをつけて発現細胞を同定したがともに消化管細胞に発現がみられた。RNAiによってそれぞれをノックアウトしたがさしたる変化を認めなかった。互いに代償しあっている可能性もあるのでdouble knocked outもおこない解析中である。
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