1.ヒト涙液中アクアポリン5タンパク質定量 ヒト涙液中アクアポリン5量をELISA法を用いて測定した結果、コントロール群では、38.8pg/μl(n=6)、非シェーグレン症候群では、51.9pg/μl(n=79)、シェーグレン症候群では、116.5pg/μl(n=28)の結果が得られた。シェーグレン症候群では、リンパ球浸潤による涙腺破壊により、涙液中にアクアポリン5が漏出されることが示唆された。 2.ヒト涙腺中アクアポリン5タンパク質定量 ヒト涙腺中アクアポリン5量をELISA法を用いて測定した結果、コントロール群では、55.0ng/mg protein(n=2)、非シェーグレン症候群では、62.3ng/mg protein(n=4)、シェーグレン症候群では、77.7ng/mg protein(n=5)の結果が得られ、3群間では、タンパク質量当りのアクアポリン5量には差が認められなかった。アクアポリン5の産生は、シェーグレン症候群においても抑制されてないことが示唆された。 3.ヒト唾液腺中アクアポリン5の細胞膜への固定・接着障害 非シェーグレンあるいはシェーグレン症候群患者の唾液腺ホモジネート溶液を、アクアポリン5C末ペプチドに結合したカラム中に通してタンパク質を結合させた後、フリーのアクアポリン5C末ペプチドを流すことにより溶出させた。溶出液をSDS-PAGEによる解析を行ったところ、非シェーグレン症候群では、67kDa付近と57kDaのバンドが確認された。シェーグレン症候群では、さらに17kDaのバンドも認められた。また、非シェーグレンとシェーグレン症候群中の総アクアポリン5量をウエスタンブロッティング解析により確認したところ、両者間では量的に変化は無かった。以上より、シェーグレン症候群では、アクアポリン5C末に結合している17kDaのタンパク質が、アクアポリン5の細胞質からapical側への膜輸送機構に何らかの影響を与えていることが示唆された。
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