研究課題/領域番号 |
13138201
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡邉 裕二 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助手 (80301042)
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研究分担者 |
若松 義雄 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (60311560)
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キーワード | 中脳 / 神経 / 発生 / 神経堤 / 中脳後脳境界 / 滑車神経 / 軸索誘導 / エレクトロポレーション |
研究概要 |
渡邉は予定視蓋における細胞増殖・神経分化に関与する因子を単離することを目的に、中脳背側で発現するcDNAとShhを強制発現して腹側化した中脳組織由来のcDNAの間でのサブトラクションをおこなった。得られた277のcDNA断片の塩基配列を決定、相同性検索をおこない、発現パターンを調べた。この中から新たにNeogenin/DCCに似た新規の遺伝子を単離し、中脳に強く発現することを見いだした。また同時に単離されたNLRR-1遺伝子はleucine-rich repeatをもつ受容体様の膜タンパクであったがその機能は知られていない。これらの遺伝子は神経系で領域特異的な発現をもち、その構造から神経発生に重要な役割を果たすことが期待される。 また中脳後脳境界に沿って走行する滑車神経軸索に着目して、その軸索形成機構について調べた。その結果、中脳と後脳の発生運命を分けるOtx2/Gbx2発現境界に軸索誘導因子Sema3Fが発現しており、滑車神経の軸索誘導に働くことを見いだした。またSema3F分子の受容体であるneuropilin-2遺伝子は主に前方の滑車神経核において発現していた。実際に生体内にSema3F遺伝子全長を中脳後脳境界にエレクトロポレーション法で強制発現すると、滑車神経の軸索が反発・縮退することからSema3Fは反発因子として脳内での滑車神経の軸索誘導にはたらくことが明らかとなった。 若松は神経堤細胞の分化過程においてNotchシグナリングがBmp4遺伝子の発現を介して神経堤細胞の分化に働き、一方ではSlug遺伝子の発現を抑制して神経堤細胞の脱上皮化に働くという2つの機能をもつことが明らかにした。
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