研究課題/領域番号 |
13139203
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
和田 正三 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (60011681)
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研究分担者 |
鐘ヶ江 健 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (70264588)
菊池 一浩 自然科学研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (50332177)
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キーワード | 葉緑体光定位運動 / 葉緑体 / シロイヌナズナ / シダ / フォトトロピン / 青色光 / 赤色光 / アクチン繊維 |
研究概要 |
(1)光受容体の解析 ヒザオリの遺伝子中にシダのphy3と非常に類似したフィトクロムとフォトトロピンが融合した光受容体の遺伝子を発見した。フィトクロム部分をバクテリア内で発現させ、フィコシアノビリンまたはフィトクロモビリンを加えて吸収変化を見た結果、フィトクロモビリンを加えた場合の吸収スペクトルがヒザオリの赤色光による葉緑体運動の作用スペクトルに一致した。またフォトトロピン部分をバクテリア内で発現させたものは青色光の吸収はなかった。これはFMNが結合するのに必要なLOVドメイン内のシステインが保存されていないためである。シダのphy3にはイントロンはないが、ヒザオリのphy3にはイントロンが多数あり、これらの構造が類似した二つの光受容体は起源は違うものであることが分かった。ヒザオリ内での作用は不明だが、シダのphy3の突然変異体のrap2の赤色光による葉緑体運動を回復させるので、機能はシダのphy3と同様であることが分かった。これらの結果は、植物の進化の途上で、少なくとも一部は機能を同じくするキメラタンパク質が偶然二度で来たことを示しており、新たな機能を持つ遺伝子が作られる面白い例であると考えられる。 (2)葉緑体運動におけるカルシウムイオンの役割 葉緑体運動の信号系としてカルシウムイオンが示唆されているが確証はない。そこでカルシウムおよびその他の二価イオンをマイクロインジェクションにより細胞内に直接導入し、その影響をみた。その結果、カルシウムは他の二価イオンに比べて、葉緑体の逃避運動を誘導することが示唆された。 (3)photの結合タンパク質 いくつかの結合タンパク質の候補が得られた段階である。
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