研究課題
自己に対する免疫不応答(免疫自己寛容)の導入・維持機構の解明は、自己免疫病の予防・治療、自己から発生した腫瘍細胞に対する効果的な免疫応答の惹起、さらには、移植臓器の長期生着をはかる上で重要である。本研究では、制御性T細胞による免疫制御機構の分子的基礎を解析し、自己免疫、腫瘍免疫、移植免疫への応用を目指す。本年度は、制御性T細胞による抑制の分子機構、および転写因子Foxp3が制御性T細胞の発生、機能に果たす役割を解析した。(1)前年度に引き続き、DNAマイクロアレイを用いた場合に制御性T細胞に高発現する遺伝子についてその機能を解析した結果、制御性T細胞に極めて特異性の高い遺伝子として、Gpr83,Ecm1,heliosを同定した。前2者は、Foxp3遺伝子の支配下にあり、heliosは、Foxp3によって制御されない。これらの分子に対する単クローン抗体の作製を試みた。(2)GITR-L分子の制御性T細胞活性化における役割について、GITR-L欠損マウスを作製し、純系マウスに戻し交配した。その結果、一部のマウスは自己免疫病を自然発症した。その発症機構について解析を進めた。(3)制御性T細胞の発生および機能のマススター制御遺伝子であるFoxp3について、Foxp3-GFPノックインマウスを作製するべく、現在キメラマウスの段階まで作業を進めた。(4)Foxp3遺伝子の発現制御について、Foxp3分子と結合する分子を、yeast two-hybrid法にて解析を進め、6個の特異的に会合する分子を同定した。現在、それぞれについて解析を進めている。
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