ゲノムホメオスタシスの分子機構

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13141101
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 品川 日出夫 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (40029799)
• 研究分担者: 柴田 武彦 理化学研究所, 遺伝生化学研究室, 主任研究員 (70087550) ; 岩崎 博史 横浜市立大学, 総合理学研究科, 助教授 (60232659) ; 堀内 嵩 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (60108644) ; 花岡 文雄 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (50012670) ; 柳田 充弘 京都大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (80025428)
• キーワード: 相同的DNA組換え / 染色体の不安定化 / 複製フォーク / Rad60遺伝子 / MGS1遺伝子

研究概要

DNAの複製の進行阻害や二重切断は様々な要因によって分裂中の細胞内で頻繁に起り、生物は複製ファークの進行阻害の克服や二重切断を修復する種々の機構を備えている。本領域研究では、これらのゲノム安定性を維持するための種々の機構を解明すると共に、その欠損にとって起る染色体の不安定化や、細胞および個体に対する影響の解析を各々の研究計画を統合して効率よく進める。
本年度は
1)年度初めに本年度第1回班会議を5月20〜21日に開催し、班員および共同研究者の研究状況と本年度の研究計画や協力について話し合った。
2)本領域の研究者間の情報交換と共同研究の促進のためにサーキュラー2号を6月に発行し、配付した。
3)第25回分子生物学会において、本領域の班員である品川、榎本は外国人2名を招へいして、シンポジウム「複製フォーク進行阻害の回避とゲノム安定性の維持機構」を主催し、岩崎・篠原はワークショップ「細胞機能発現おける遺伝的組換え」を主催した。
4)本年度第2回班会議を2月23〜24日に開催し、本年度の研究実績と研究協力を話し合った。
5)本特定領域と関連の深い特定領域研究「DNA損傷による細胞死とDNA修復ネットワーク」(領域代表者:田中亀代次)と共催でワークショップ「DNA Repair, Recombination and Mutagenesis 2003」を2月24〜26日に開催し、約100名の参加者を得て、42題の口頭発表および31題のポスター発表があり、活発的な研究交流を行うことができた。
6)班員間の共同研究として、新規の遺伝子(rad60,rad61,nbs1,fbh1,hefなど)の同定に成功し、それらの解析に格段の支援を必要としたため、研究資材の更なる支援を総括班から行い、研究活動の強化が行われて、重要な研究成果が得られた。

研究成果

• [文献書誌] Morishita T, Tsutsui Y, Iwasaki H, Shinagawa H.: "The Schizosaccharomyces pombe rad60 gene is essential for repairing double-strand DNA breaks spontaneously occurring during replication and induced by DNA-damaging agents"Mol. Cell. Biol.. 22・10. 3537-3548 (2002)
• [文献書誌] Hishida T, Ohno T, Iwasaki H, Shinagawa H.: "Saccharomyces cerevisiae MGS1 is essential in strains deficient in the RAD6-dependent DNA damage tolerance pathway"EMBO J.. 2・8. 2019-2029 (2002)
• [文献書誌] Yamada K, Miyata, Iwasaki H, Shinagawa H, K, Morikawa K., et al.: "Crystal structure of the RuvA-RuvB complex : a structural basis for the Holliday junction migrating motor machinery"Mol. Cell. 10・3. 671-681 (2002)
• [文献書誌] Kodama K, Kobayashi, H, Horiuchi T.et al.: "Amplification of Hot DNA segments in Escherichia coli"Mol. Microbiol. 45・6. 1575-1588 (2002)
• [文献書誌] Goshima G, Kiyomitsu T, Yoda K, Yanagida M.: "Human centromere chromatin protein hMis12, essential for equal segregation, is independent of CENP-A loading pathway"J Cell Biol.. 160・1. 25-39 (2003)
• [文献書誌] Ling F, Shibata T.: "Recombination-dependent mtDNA partitioning : in vivo role of Mhrlp to promote pairing of homologous DNA"EMBO J.. 21・17. 4730-4740 (2002)