ゲノムホメオスタシスの分子機構

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13141101
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 品川 日出夫 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (40029799)
• 研究分担者: 園田 英一朗 京都大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (50281093) ; 岩崎 博史 横浜市立大学, 大学院・総合理学研究科, 助教授 (60232659) ; 堀内 嵩 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (60108644)
• キーワード: 遺伝学 / 組換え / 複製 / 癌 / 放射線

研究概要

DNAの複製の進行阻害や二重切断は様々な要因によって分裂中の細胞内で頻繁に起り、生物は複製ファークの進行阻害の克服や二重切断を修復する種々の機構を備えている。本領域研究では、これらのゲノム安定性を維持するための種々の機構を解明すると共に、その欠損にとって起る染色体の不安定化や、細胞および個体に対する影響の解析を各々の研究計画を統合して効率よく進める。
本年度は
1)平成15年度班会議は15年8月9〜10日に、班員および共同研究者の研究状況と本年度の研究計画や協力について話し合った。
2)本領域の研究者間の情報交換とおよび情報公開のために特定領域研究「ゲノムホメオスタシスの分子機構」のホームページを作成し、平成15年9月より公開した。
(URL:http://www.biken.osaka-u.ac.jp/kenkyu/idensi/seibutugaku/tokutei/index.html)。
3)本特定領域のこれ迄の研究成果や今後の研究計画等をまとめて、研究経過報告書を作成し、文科省に提出した。領域代表品川および堀内、梅津が文科省に出向き中間研究報告を行った。中間報告ヒアリングでの評価の結果は「A」であった。
4)品川、岩崎はスウェーデン・イエテボリ市で15年7月7〜11日に開催された「国際酵母・遺伝学・分子生物学会議」に参加して、研究成果を発表し、世界の研究者と研究交流を行った。
5)11月9〜13日に淡路島夢舞台国際会議場で開催された第4回国際3R(Replication, Recombination & Repair)シンポジウムにおいて、本領域研究から品川、大森、篠原がオーガナイザーとして参画し、日本における真に国際的で学際的なシンポジウムを定着させることができた。本特定領域の班員全員が口頭およびポスターで発表を行い、海外からの参加者約40名を含めて研究交流を行った。
6)第26回分子生物学会において、本領城の班員である堀内と岩崎は各々シンポジウム「遺伝子増幅と遺伝子進化」、「染色体代謝:新しい視点からの制御の分子機構」を主催した。
7)領域内での共同研究として、品川が分裂酵母で同定したF-boxDNAヘリカーゼをコードするFbh1遺伝子の森田はノックアウトマウスを作成し、園田はニワトリDT40細胞でミュータントを作成して、高等動物でのこの遺伝子の機能解析を開始した。

研究成果

• [文献書誌] Akamatsu Y, Dziadkowiec D, Ikeguchi M, Shinagawa H, Iwasaki H.: "Two different Swi5-containing protein complexes are involved in mating-type switching and recombination repair in fission yeast."Proc Natl Acad Sci U S A.. 100(26). 15770-15775 (2003)
• [文献書誌] Ueno M, Nakazaki T, Akamatsu Y, Watanabe K, Tomita K, Lindsay HD, Shinagawa H, Iwasaki H.: "Molecular characterization of the Schizosaccharomyces pombe nbs1+gene involved in DNA repair and telomere maintenance."Mol Cell Biol.. 23(18). 6553-6563 (2003)
• [文献書誌] Hishida T, Iwasaki H, Han YW, Ohnishi T, Shinagawa H.: "Uncoupling of the ATPase activity from the branch migration activity of RuvAB protein complexes containing both wild-type and ATPase-defective RuvB proteins."Genes Cells.. 8(9). 721-730 (2003)
• [文献書誌] Nishino T, Komori K, Ishino Y, Morikawa K.: "X-ray and biochemical anatomy of an archaeal XPF/Rad1/Mus81 family nuclease : similarity between its endonuclease domain and restriction enzymes."Structure. 11(4). 365-366 (2003)
• [文献書誌] Sonoda E, Okada T, Zhao GY, Tateishi S, Araki K, Yamaizumi M, Yagi T, Verkaik NS, van Gent DC, Takata M, Takeda S.: "Multiple roles of Rev3,the catalytic subunit of polzeta in maintaining genome stability in vertebrates."EMBO J.. 22(12). 3188-3197 (2003)
• [文献書誌] Takeuchi Y, Horiuchi T, Kobayashi T.: "Transcription-dependent recombination and the role of fork collision in yeast rDNA."Genes Dev.. 17(12). 1697-1506 (2003)