研究課題
ゲノムの正確な複製と分配はゲノムの安定的な維持に不可欠で、全ての生物は基本的に共通した、複数の機能が関与している。特にDNAの複製の進行阻害や二重鎖切断は様々な要因によって、増殖中の細胞で日常的に頻繁に起きている。本領域研究総括斑では、ゲノムの安定性を維持するための種々の機構を解明すると共に、それらの欠損によって起こる染色体の不安定化や個体レベルで起こる病態の解析を進めるため、各計画研究の協力を図る。1)平成17年度班会議を17年8月27〜28日に、班員及び共同研究者、評価委員、学術調査官が参加して行い、研究状況の報告や研究協力に付いて話合った。2)本特定領域と深い関係のある第5回3R(DNA Replication, Recombination and Repair)国際シンポジウムの開催(11月13〜17日、淡路島夢舞台国際会議場)を本特定領域の品川、篠原、大森等がオーガナイザーとして支援し、本特定領域の班員多数が研究発表を行い、国際的な研究交流をおこなった。3)品川、篠原は7月23〜28日に米国で開催されたFASEB Summer Conference on Recombination and Genome Rearrangementsに参加して、研究発表を行い世界の研究者と研究交流を行った。4)領域内の研究協力として、バクテリアからヒト迄高度に保存されているmgsA/WRNIP1遺伝子の機能解析を品川が大腸菌と酵母で、榎本がニワトリとマウスで解析し、ゲノム安定性の維持における重要性を明らかにした。5)石野等が発見した高度好熱菌で枝分かれしたDNA構造に特異的に働くDNAヘリケースとヌクレアーゼ活性を持つ酵素HefのヒトホモログがFanconi貧血症候群の構成要素であることがわかり、DNA架橋損傷の修復に関与する重要なタンパク質として、現在世界の注目を集めている。
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