研究概要 |
1)Holliday組換え中間体の分岐点移動を司るタンパク質RuvA-RuvB複合体の結晶構造を解いた。このモータータンパク質複合体の動きを1分子イメージング解析法で解析し、ジャンクションの移動がDNA二重鎖の回転運動によって引き起こされていることを証明した。2)分裂酵母で新規の組換え修復関連遺伝子を10個発見しそれらの機能を解析した。Rad60,Rad61(Nse4)はSmc5,Smc6と複合体を形成し複製フォークの阻害を組換え修復によって防ぐ機能を持つことを明らかにした。Fbh1はDNAヘリケース活性を持つと共にSCFユビキチンリガーゼのF-boxタンパク質として、組換え中間体の分離に関与することを明らかにした。分裂酵母のRad51-Swi5-Sfr1タンパク質複合体による新規の組換え修復経路を発見した。 3)上記の新規遺伝子群の機能をニワトリDT40細胞や,哺乳類細胞を用いて解析した。4)酵母のrDNA領域ではFob1タンパク質がRFB配列にヌクレオゾームのように巻き付いて複製阻害を起こし、二重鎖切断とRad52依存性の組換え反応を誘導して、rDNA繰返し配列の増減が起こることを証明した。rDNAリピートの維持に転写および複製が関与し、コヒーシンおよびコンデンシンがrDNA領域のリピートの安定性維持に重要であることも明らかにした。5)酵母の二倍体細胞を用いた研究で、自然に起こる染色体再編成の大部分はレトロポゾンなどの繰返し配列を介して相同組換え依存的に起こることを証明した。6)出芽酵母のMei5とSae3タンパク質はDmc1と複合体を形成して、減数分裂期組換えにおいて組換え中間体の形成に関与することを証明した。7)制限修飾遺伝子単位が細菌における遺伝子増幅、転移、ゲノム多型の原因となっていることを実験的および比較ゲノム解析によって証明した。
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