研究課題
(園田)今年度は、動物細胞DNA修復ネットワークの基礎研究に加え、臨床に応用できる研究も展開した。紫外線によるDNA損傷を特異的に修復していると考えられていた損傷乗り越えポリメラーゼXP-Vが、DNA組換え時にも機能するという知見を見いだした。また、塩基除去修復に関与していると考えられていたポリADPリボースポリメラーゼが組換え蛋白KUを制御することで2重鎖切断修復にも重要な役割を果たしていることを見いだした。臨床に応用できる研究として、様々な修復欠損株を網羅的に解析し、抗癌剤シスプラチンによる損傷がどの修復系で直されているか調べ、複製後修復、ファンコニ経路、相同組換えが主要な経路であることを見いだした。さらに変異導入ポリメラーゼゼータ変異株が一酸化窒素NOに感受性を示すことを発見し、発癌と慢性炎症(NOが過剰に産生)の関係の一端を明らかにした。(榎本)DT40細胞から作製した遺伝子破壊を用いた遺伝学的解析により、DNA傷害誘導時には、BLMはRAD52の関与する組換え経路ではなく、XRCC3が関与する経路の下流で機能し、傷害により複製中に形成されるpseudo Holliday junctionを解消している可能性が示唆された。出芽酵母のモデル系を用い、BLMの酵母ホモローグであるSgs1とTop3の複合体に含まれる高等真核細胞のBLM結合タンパク質BLAP75の酵母ホモローグ(Rmi1)の機能を解析した。その結果、Rmi1はRad51が関与する相同組換え経路で機能していることが明らかになった。(大森)複数存在する損傷乗り越え型DNAポリメラーゼはそれぞれ異なる種類の損傷のバイパス合成に関わると考えられているが、個々の酵素が損傷箇所にどうやってリクルートされるかは未だに不明である。DNA損傷が引き金となっておこるPCNAのモノユビキチン化が複製型DNAポリメラーゼから損傷乗り越え型DNAポリメラーゼへのスイッチに重要であると考えられているが、実際PolkもまたPolh同様にモノユビキチン化されたPCNAに強く結合することが明らかになった。PolkやPolhのPCNA結合配列を含むペプチドと修飾されていないPCNAに対する結合の強さを調べたところ、Polhのペプチドの方が遥かに強い結合能を有することが明らかになった。おそらく、このことがPolhを選択的に損傷箇所にリクルートすることに繋がっているものと考えられる。
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