研究課題
(1)出芽酵母のrRNA遺伝子(rDNA)リピート領域にある、機能を有するシス配列の同定を目的に、Saccharomycesに属する近縁6株のrDNA配列を決定し比較した所、予想されたARSやRFBに加え、新たに2つの特徴ある保存領域を見出した。一つは、(2)で触れる両方向の転写プロモーターであり、他はARS近傍にあるARSコア配列の繰り返し領域である。前者と同様、後者もrDNAの増幅に必須であることを見出した。(2)(1)で見出した両方向プロモーター(E-proと命名)は、我々がEXPと名付けた増幅必須領域にある。調べた所、rDNA増幅はE-proの転写活性に依存していた。この非コードRNAの転写が、近傍の姉妹染色分体間を結びつけるコヘーシンの結合を弱める結果、増幅に必須な非対称的組換えが活性化されると考えれば、転写依存的増幅をうまく説明できる。調べたところ、E-proからの転写はコヘーシンの結合を阻害した。更に、これまでサイレンシング蛋白質Sir2が組換えを抑制することが知られていたが、Sir2がE-pro転写を直接サイレンシングすればうまく説明できる。調べたところ、Sir2がE-pro転写を阻害する事を見出した。このことから、rDNAにおけるサイレンシング、E-proからの転写、遺伝子増幅の三者の関係を明らかにする事が出来た。(3)rDNAのコピー数は、FOB1依存的な組換えにより維持される。もしfob1欠損の場合、維持不能が予想されるが、予想に反しコピー数の減少が無い。これから我々は別の維持機構の存在を予想し、その機構を欠損したと思われる変異株を多数分離し、原因遺伝子を同定したところ、全てコンデンシン遺伝子であった。実際fob1コンデンシン2重変異株では、rDNAコピー数が激減した。コンデンシンがS期にFOB1依存的にRFB部位に結合する事を発見し、結合不能の場合M期でのrDNA領域特異的な分配不能を観察した。このことから、コンデンシンの新たな機能を見出すことが出来た。
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