ペプチド輸送体TAPLの機能構造を明らかにするため3つの方向から検討を行い、進展が見られた。 1)TAPLはTAP1/TAP2との類似性から、ホモまたはヘテロ2量体を形成すると考えられる。そこで、3者にタグを連結する形で培養細胞に発現させた。その結果、TAPLはホモダイマーを形成する可能性が示唆された。一方、TAP1がTAPLと相互作用する可能性が示唆された。 2)精製標品による反応素過程の解析を目的として、線虫TAPLのカルボキシル末端側、ペプチド結合領域からATP結合領域までを発現するプラスミドを構築し、大腸菌に導入した。大腸菌内では培養温度の如何にかかわらず封入体を形成してしまったため、8000xgの沈殿から可溶化を試みた。トリトンX100(1%)や2M尿素では可溶化できなかった。一方6M塩酸グアニジンや8M尿素では50%程度の可溶化ができた。しかしながら、可溶化後の標品をNiビーズに結合させて精製しようとしたところ、8M尿素による可溶化標品のみビーズに結合した。これらの結果から、8M尿素存在下に可溶化しさらに精製するのが良いということが明らかになった。 3)線虫のTAPLファミリーについて機能解析を進めることを目的として、線虫に3種あるファミリーメンバーのうち、2種の遺伝子をクローニングした。この遺伝子にGFP遺伝子を連結し、線虫における発現部位の解析やRNAiを行うコンストラクトを作成した。 さらに、一回膜貫通型蛋白Mat-8の機能構造と反応制御を明らかにするため、蛍光タンパクを融合させたTAPLを安定に発現するCHO-K1細胞株を樹立した。この細胞を用いて細包内局在性や胃のプロトンポンプとの相互作用など検討することが可能になった。
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