研究課題
特定領域研究
1.ヒトABC輸送体TAPLの安定発現細胞を構築し観察すると、TAPLはリソゾームに局在した。異なる自家蛍光蛋白質と融合したTAPLを発現させることにより、TAPLはホモ2量体で機能することが示唆された。推定膜貫通領域のうちN末側の4つのセグメントがあれば、TAPLはリソゾームに局在し得ることも示した。TAPLのATP結合に重要な残基を同定し、この残基の変異がTAPL発現酵母の薬剤に対する高感受性を消失させることを示した。2.TAPL遺伝子のゲノム構造及びmRNAの解析から、ヒトで3種類、ラットで4種類のC末側が異なるアイソフォームを見出し、輸送体機能に多様性が生み出される可能性を示唆した。3.モデル生物である線虫を用い、2種のTAPLホモログが腸細胞の細胞内に存在する顆粒膜に発現していることを示した。また、欠損体の性質を解析し、腸内顆粒の形成と維持にこれらのホモログが関与していることを明らかにした。4.大腸癌細胞において、FXYDファミリーのMAT8がNa^+,K^+-ATPaseと細胞膜上に共に局在することを示し、MAT8が膜輸送ナノマシン本体の制御因子である可能性を示唆した。MAT8の膜貫通領域に存在する存されたGly残基に部位特異的変異導入すると、MAT8は細胞内に留まる傾向が見られた。5.蛍光蛋白質との融合蛋白質も含め様々な発現系の構築を通して、蛍光顕微鏡下に輸送体分子とその制御因子を可視化により観察が可能であることを示すことができた。今後、各種変異体を作成し複合体の解離・会合も含め、機能と構造の解明に役立てることが可能な基盤が構築された。
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