研究課題/領域番号 |
13142210
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研究機関 | 国立循環器病センター(研究所) |
研究代表者 |
若林 繁夫 国立循環器病センター研究所, 循環分子生理部, 室長 (70158583)
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研究分担者 |
久光 隆 国立循環器病センター研究所, 循環分子生理部, 流動研究員
重川 宗一 国立循環器病センター研究所, 循環分子生理部, 部長 (00113738)
岩本 隆宏 国立循環器病センター研究所, 循環分子生理部, 室長 (20300973)
パン テンシャン 国立循環器病センター研究所, 循環分子生理部, 外国人特別研究員
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キーワード | Na^+ / H^+アンチポータ / 細胞内pH / 結晶構造 / 生物・生体工学 / 生物物理 / ナノマシン / 生体分子 / タンパク質 |
研究概要 |
Na^+/H^+交換輸送体(NHE)には組織特異的に発現する様々なアイソフォームがあるが、私達はこれまで、これらのNHEが生理的な活性を発揮するためには、普遍的に発現するCa^<2+>結合タンパク質の一種、CHP(CHP1と呼ぶ)との相互作用が必須であることを明らかにした。今回は、別のCHPアイソフォームCHP2の作用を検討した。CHP2はCHP1と同じ細胞質ドメインの膜直下の領域に結合し、CHP1と同様に活性を発揮するのに寄与する。さらに興味深いことに、CHP2はヒトの全組織にほとんど発現していないが、hepatoma, carcinoma, leukemiaなどの癌細胞ではかなりの量が発現することを確認した。CHP1とは異なって、CHP2を高発現した細胞では血清非存在下においてすでにNHE1は活性化状態にあり、細胞内pHは高いレベルにあることがわかった。さらに、CHP1とは異なって、CHP2高発現細胞は無血清に抵抗性を示し、無血清下において60%以上の細胞が一週間以上生き残ることがわかった。このような性質は癌細胞一般にみられるものである。以上のことから私達は、細胞が癌化するとCHP2が発現し、NHE1に結合していたCHP1がCHP2と置換するのに伴ってNHE1が恒常的に活性化され、これによって維持される異常に高い細胞内pHが、血清非依存性増殖、無血清に対する抵抗性、invasionの亢進など癌細胞特有のフェノタイプに寄与するものと考えている。 また今回、部位特異的変異導入の手法を用いてNHE1の第5細胞内ループのArg^<440>残基およびGly^<455>/Gly^<456>残基がNHE1のpHセンサーの制御に重要であることを見出した。
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