研究概要 |
総括班会議と公開シンポジウムを、福岡リーセントホテルで開催した(平成17年7月7日〜8日)。川畑班は、抗菌ペプチドのタキプレシンがカブトガニ顆粒細胞の開口放出を誘導することを見いだし、タキプレシンがG_o/G_i型のGタンパク質と直接相互作用することを明らかにした。また、クチクラタンパク質の網羅的な構造と機能の解析を行い、外骨格内皮から作製したcDNAから、23種のタンパク質について全塩基配列を決定した。 藤田班は、C3の活性化がMASP-1/3欠損マウスで野生型マウスよりも有意に低下しており、欠損マウス血清にMASP-1の組み換えた体を加えるとそのC3沈着量は増加すること、C4欠損マウスにおいてもmannanに対するC3沈着は起こるが、C4とMASP-1を同時に欠損したマウス血清ではC3活性化はほとんど起こらないことを明らかにした。このことは、MASP-1はC4非依存的にレクチン経路を活性化することを示唆している。また、M-フィコリン、マウスフィコリンAおよびBの各種リコンビナント体がGlcNAc残基に対して結合能をもつことや、M-フィコリンとフィコリンBではNeuAc残基に対しても結合能をもつことを明らかにした。 倉田班は、哺乳動物でのPGRPの機能を推測するために、ヒト口腔上皮細胞を用いて、PGRP-L,PGRP-S,PGRP-Ia,PGRP-Ibが、菌体成分の刺激に応じて誘導されるかどうか検討した。その結果、TLRとNODといった因子を介してPGRPが誘導されることを見出した。口腔上皮細胞は、常に微生物にさらされているにもかかわらず、正常な状態では炎症を起こすことなく感染防御の最前線として機能している。この結果は、口腔上皮細胞が、炎症を引き起こすことなく感染防御する際に、PGRPが重要な役割を果たしていることを示している。
|