研究課題
自然免疫は、全ての多細胞生物が有する感染防御システムであり、近年その重要性が認識され注目されている。本研究の目的は、2つの自然免疫シグナル伝達カスケード、すなわち、PGRP-LEが介する抗菌ペプチド発現誘導経路とproフェノールオキシダーゼ(PO)カスケードの活性化の分子基盤を明らかにし、自然免疫カスケードのネットワークの解明を目指すことである。本年度は、PGRP-LEが介する抗菌ペプチド発現誘導経路(PGRP-LE/imd経路)とproPOカスケードは、セリンプロテアーゼインヒビターであるSerpin 27Aが阻害するproPO活性化酵素(PPAE)の上流で分岐していることを明らかにした。昨年度の本研究の成果により、初めて抗菌ペプチド発現誘導経路とproPOカスケードが連携していることが明らかとなったが、本年度はその分岐点が明らかになったことになる。これまで、Serpin 27Aの発現は、抗菌ペプチド産生のToll経路によって制御されていることが明らかにされていたが、PGRP-LEによるproPOカスケードの活性化は、Toll経路とは独立して誘導されることが明らかとなった。したがって、ここに初めてToll経路とimd経路のSerpin 27Aを介したクロストークが存在することが示唆された。さらに、PGRP-LEが気管の内腔側の表面に局在し、細胞非自立的に感染シグナルを伝え、抗菌ペプチドDrosomycinの発現を誘導することを示唆した。
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蛋白質 核酸 酵素 49
ページ: 1153-1155
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生化学 (印刷中)
臨床免疫学 (印刷中)