研究課題/領域番号 |
13143204
|
研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
藤田 禎三 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (20134223)
|
研究分担者 |
遠藤 雄一 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (20117427)
岩城 大輔 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (10315492)
中田 宗宏 東海大学, 工学部, 助教授 (00266371)
中村 隆範 香川大学, 医学部, 教授 (70183887)
安住 薫 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (90221720)
|
キーワード | 補体 / レクチン経路 / MASP / フィコリン / 分子進化 |
研究概要 |
自然免疫における生体防御レクチンによる異物認識と排除システム、とくに補体レクチン経路の分子基盤、意義および系統発生・分子進化を解析し、以下の結果を得た。 1)レクチン経路の役割を解明するために、キーエンザイムであるMASPを欠損したマウス(MASP1/3欠損マウス、MASP-2/sMAP欠損マウスおよびMASP完全欠損マウス)を作成した。欠損マウスの表現型解析と再構成により、MASP欠損マウスは補体活性化能の低下を示し易感染性であること、MASP-1が惹起する独自の活性化ルート(MASP-1経路)が存在すること、MASP-1はMASP-2を活性化すること、sMAP(MASP-2の短縮タンパク)はMASPと競合しレクチン経路の活性を抑制すること等を明らかにした。この結果は、レクチン経路が自然免疫の初期防御に不可欠であり、増強と制御の機構を内在する発達した系であることを示唆している。 2)レクチン経路の認識分子の一つであるフィコリンAの欠損マウスを解析し、フィコリンAで惹起される経路がMBLの経路とは独立して存在すること、この経路の欠失に伴って血液による細菌増殖を抑制する機能が低下することを明らかにした。これらは、フィコリンが特異的な糖認識をもとに、標的のオプソニン化・貪食の活性化によって自然免疫に働いていることを示唆している。 3)獲得免疫をもたないヤツメウナギ(円口類)において、レクチン経路とその制御に関与する因子の同定を進め、ほ乳類に相同なシステムが存在することを明らかにした。共同研究者の安住は、無脊椎動物原索類のホヤの体液細胞に発現する遺伝子の網羅的解析を進め、ITAM抗原受容体を介して情報伝達に働く遺伝子やレチノイン酸誘導で発現する遺伝子など生体防御に関与する因子を同定した。中村は、生体防御レクチンであるガレクチン-9の標的分子を検索し、この分子がCD40などの発現を増強させ、免疫応答に働く樹状細胞の成熟に関与することを明らかにした。
|