現在、cDNAマイクロアレイの解析装置として2種類の蛍光物質でDNAを標識する方法が主流である。この装置では、遺伝子の発現量測定を蛍光レーザ-顕微鏡とCCDカメラで構成されるイメージスキャナーによって行っている。このスキャナーに期待される性能として、サイズが数10μmで間隔100μm程度に配列されているスポットを、定量的に識別できることが強く求められている。本研究の目的は、従来のスキャナーと比較して、100倍の感度と定量測定が期待されるキャピラリープレートガス比例計数管の開発研究である。本研究は、cDNAマイクロアレイ解析装置に我々が独自に開発した放射線検出器であるキャピラリーガス比例計数管(CGPC)をスキャナー(光検出器)として応用するための試作研究であり、検出器としての感度とダイナミックレンジの特性を調べることを目的とし研究計画とした。そこでCGPC専用チェンバー、ガス導入システムを整え、山形大学に設置されてある真空紫外線CCDカメラプラズマ発光観察装置とその光学系を用いてキャピラリープレートからの発光および電荷信号を観測し検出器としての感度とダイナミックレンジの特性試験を行った。専用チェンバー内にアルゴン混合ガスを封入し、5.9keVのX線及び約5MeVのα線を入射させて、ガスチェンバー内で生じる電子数比を約1000倍に変化させてガス検出器としての特性を調べた。約1000倍のエネルギー比を持つX線およびα線に対して本検出器は安定に動作した。また。各々のイベントに対するCCDの光量分布を比較したところ、その光量比も約1000倍の値を示し、高光量部での線形性が保たれており、ダイナミックレンジが1000でも安定に動作することを示した。一方、感度の問題に関して、CGPCはガス増幅度約7000まで動作する事がわかった。
|