研究概要 |
多細胞生物における組織形態形成や神経発生を理解するためには、細胞の形態変化や移動に伴う細胞骨格の制御機構を解析することが重要である。線虫などのモデル生物におけるゲノム解析の進展により、これまで困難であった、多重に存在する細胞骨格分子や制御分子の網羅的な解析が可能となってきた。本研究では、線虫及び培養細胞を用いて細胞骨格及び細胞骨格制御分子による細胞・組織の形態制御機構や神経発生機構を包括的に理解することを目的としている。 本研究において申請者は、線虫においてyeast two-hybrid法とRNAi法を組み合わせた機能的スクリーニング法を開発した。この方法を用いて、線虫の組織形態形成に関与する遺伝子[GEX2,GEX3,W07B3.2(GEI-4)]について組織的に結合分子探索、及び遺伝子破壊実験を行った。現在までに、多数の結合分子を同定し、この中からさらに遺伝子破壊により形態形成に異常が認められる分子を少なくとも6種同定した。さらに、組織特異的プロモーター(lin-26p, myo-3p)を用いたRNAi非感受性株の組織特異的RNAi感受性回復株を樹立した。GFPを指標にこれらの株の評価を行ったところ、RNAi感受性を回復させた組織において特異的に遺伝子破壊が起こっていることを確認し、組織特異的RNAiが可能であることを示した。 以上の方法を組み合わせることにより、システマティックに組織形態形成に関わる遺伝子群を同定・解析することが出来ると考えられる。
|