研究概要 |
1.研究の当初計画: (1)ホヤ幼生の神経系に特異的に発現する多数の遺伝子の5'上流領域を単離し、塩基配列を決定する。(2)上流領域をレポーター遺伝子につないでホヤ胚に導入し、転写調節機能の解析を行なう。(3)各遺伝子の上流領域の塩基配列の比較解析(遺伝子間で保存されたシス調節配列、既知転写因子の結合コンセンサス配列の検索)を行なう。 2.研究の成果: (1)幼生ESTの1,013個の独立クラスターの空間的発現パターンを解析し、神経系で発現するクラスターが245個みいだされ、うち60個は神経系のみで発現した(データweb公開および論文発表済み)。(2)ゲノムDNAからPCR法により遺伝子上流の未知領域を単離する方法を確立した。(3)ホヤゲノムプロジェクトの公開データを用いて各遺伝子の近傍のゲノム配列データを収集した。(4)(2)と(3)の結果をもとに6個の遺伝子の上流領域(2kb〜4kb)を単離して塩基配列を決定し、各々をGFPにつないだプラスミドを作製した。(5)これらのGFP融合プラスミドを胚に導入し、中枢神経系特異的なレポーター遺伝子の発現が得られた。(6)視細胞特異的遺伝子の解析により、脳胞全体での発現を活性化するシス配列と視細胞以外での発現を抑制するシス配列の存在が示された。(7)脳胞で特異的に発現する2つの遺伝子Ci-arrとCi-opsin3の上流領域間で非常によく保存された配列がみいだされた。
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