遺伝子変異によらない遺伝子発現制御(ebigenetics)として、近年、DNAのメチル化による転写抑制が重要視されてきている。筆者は、12年度特定領域(C)研究でアイソトープを用いない、ゲノムDNA全体のCpG island特異的なメチレーションの定量法、non-isotopic cytosine extension assayを確立し、genome DNAが10ナノグラム以下でも濃縮操作により解析可能なレベルにまで改良した。また、代表的な自己免疫性疾患である全身性エリテマトーデス(SLE)の末梢血リンパ球ゲノムDNAでは、コントロール、円板状エリテマトーデスに比べ、CpG island methylationが亢進してると考えられ、SLEのリンパ球機能異常の病態の解明にせまる可能性があると考えられた。 今年度は末梢血リンパ球の表面マーカー別に解析したところ、SLEでは、主にメチレーションに異常のあるのはCD19+のBリンパ球であることがわかった。 他の膠原病、強皮症、皮膚筋炎についても解析したが、末梢血リンパ球ゲノムDNAのCpG island methylationの異常は見られなかった。 正常人末梢血リンパ球と皮膚細胞ではグローバルメチレーションに大きな差があることがわかった。ケラチノサイトとメラノサイトでは差がなかった。 悪性黒色腫ではnon-CpG island hypomethylationがおきていることが示唆された。
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