研究概要 |
成人発症の開放隅角型の慢性緑内障の原因遺伝子としてはGLC1A,1B,1C,1D,1E,1Fが報告されており、このうちGLC1AについてはTIGR/MYOCが1997年に、GLC1EについてはOPTNが2002年に同定された。しかし、このふたつの遺伝子でカバーできる緑内障患者は10%程度と予測され、いまだ多くの緑内障患者の原因は不明である。我々は当科受診中の緑内障患者より同意の上で採血を行い、原因遺伝子の検索を続けている。これまでに報告されているTIGR/MYOCについても検索を行い、プロモーター領域において患者群で有意に多く認められる点置換を発見している。また、OPTN遺伝子に関してもcoding region全てをカバーするプライマーを作成し、SSCPを施行中で日本人特有の変異を検索している。新規緑内障遺伝子発見のために現在GLC1B,1C領域に重点をおき、候補遺伝子を絞り込んでいる。予測遺伝子検索によりGLC1B領域で20個、GLC1C領域で8個の遺伝子を絞り込んだ。これらについてはwaveを導入して、開放隅角緑内障患者を対象に変異検索を進行中である。また、候補遺伝子の絞込みのために緑内障発症の重要な組織である線維柱帯細胞、視神経乳頭部のRNAを抽出し、その部位で発現する遺伝子をDNAチップを用いて検索している。それにより現在線維柱帯細胞と網膜視神経節細胞に発現している遺伝子を発見し、その変異検索もあわせて進行中である。
|