インスリン抵抗性に関与する候補遺伝子として、uncoupling Proteinl(UCPl)遺伝子とAMPKのγサブユニット(PRKAG)遺伝子のSNPsを同定し、2型糖尿病の発症との関連について解析した。 UCPl遺伝子に関してはプロモーターに存在するA/C多型とMet229Leu多型を同定した。両者は連鎖不平衡の関係にあった。2型糖尿病患者320名、正常対照者250名に関して多型頻度を解析したところ、前者に関して糖尿病群ではA/A:257名、A/C:61名、C/C:2名でCアリル頻度は10.2%あったが、正常対照群ではA/A:220名、A/C:29名、C/C:1名でCアリル頻度は6.2%であり出現頻度に有意差を認めた。(P=0.017、χ^2検定)A/A型プロモーターとC/C型プロモーターの機能をルシフェラーゼァッセイを用いて解析したところ、C/C型の機能はA/A型の40%に低下していた。以上からUCP1遺伝子のプロモーター内のC多型はUCP1の発現低下や2型糖尿病との相関を有することが示された。AMPKは、レプチンやビグアナイド薬の作用を仲介している分子として現在非常に注目されているセリン・スレオニンキナーゼである。このγサブユニットをコードするPRKAG遺伝子に関して、Pro46Alaを同定した。2型糖尿病患者428名、正常対照者412名に関して多型頻度を解析したところ、糖尿病群ではPro/Pro:192名、Pro/Ala:198名、Ala/Ala:38名でAlaアリル頻度は32%であった。一方、正常対照群ではPro/Pro:178名、Pro/Ala:180名、Ala/Ala:54名でAlaアリル頻度は35%であり、両群間に有意差を認めなかった。他にintron4+31C/G多型も同定されたが、同様に糖尿病群と正常群で出現頻度に有意差は確認できなかった。
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