研究分担者 |
平井 完史 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (80312578)
檜尾 好徳 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (10282071)
谷澤 幸生 山口大学, 医学部・附属病院, 講師 (00217142)
石原 寿光 東北大学, 医学部・附属病院, 医員
片桐 秀樹 東北大学, 医学部・附属病院, 医員
|
研究概要 |
新生児低血糖患者にGDH遺伝子変異を同定し、これが常時活性型であることを機能解析より明らかにした。この常時活性型GDHの過剰発現により、低濃度グルコース下でのインスリン分泌は増強していることも証明した。Preliminaryな結果ではあるが、このようなインスリン分泌増強下で細胞内glutamate量は減少しており、glutamateのインスリン分泌セカンドメッセンジャー説を支持していない。なお、糖尿病患者100人の検討では、GDH遺伝子異常による患者は見出せず、主要な糖尿病遺伝子ではないと考えられる。 また、PPARa遺伝子に今まで報告のない多型V227Aを見出した.これは,エクソン5のPCR-RFLPにて検出できる。227Aの頻度は糖尿病と正常者の間で差がなく,227Aがわが国の糖尿病の主要な原因ではない。ところが,尿病患者で227Aを有する場合には高中性脂肪血症の頻度が有意に高く,さらに男性・女性別に検討すると,男性でのみ頻度の有意差が認められた.また,男性糖尿病患者では,227Aを有する者ではBMI26.4以上の頻度が高かった. WFS1の細胞内局在を検討し、ERに局在する膜蛋白であることを明らかにした。ERストレスと細胞死は最近の細胞生物学のトピックスである。たとえば、神経変性疾患である家族性アルツハイマー病の原因遺伝子presenilin1&2もERに局在することから、ERに局在するWFS1が膵β細胞の「変性」と密接に関わる可能性は高い。さらに、我々はERストレスによりWFS1の発現が増強することを見出した。これらより、WFS1の異常、ERストレスの増加、膵β細胞のアポトーシス、糖尿病という図式が浮かび上がってくる。ERの膜蛋白であるという知見はWFS1の機能解明への重要な突破口となると思われる。
|