研究課題/領域番号 |
13204062
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岡 芳知 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70175256)
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研究分担者 |
片桐 秀樹 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00344664)
檜尾 好徳 東北大学, 病院・講師 (10282071)
石原 寿光 東北大学, 病院・助手 (60361086)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2005
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キーワード | 糖尿病 / インスリン分泌 / 膵β細胞 / ウオルフラム症候群 / 小胞体ストレス / 細胞周期 |
研究概要 |
糖尿病をおこす常染色体劣性遺伝疾患ウオルフラム症候群の原因遺伝子WFS-1の機能について、WFS1ノックアウトマウスを作製し解析を進めた。WFS1欠損マウスでは膵β細胞数が進行性に減少し、これがインスリン分泌低下の原因と考えられた。WFS1欠損マウスから単離した膵島は、ツニカマイシンやタプシガルギンなどの小胞体ストレス誘導に対してアポトーシスによるDNA断片化が増強し、小胞体ストレスに対して脆弱であった。このことは、WFS1が、小胞体ストレス応答のコンポーネントの1つであり、小胞体ストレスから細胞を守る働きを担う可能性を示唆している。そこで、さらにWFS1欠損膵島での小胞体ストレス応答の詳細を検討した。小胞体ストレス応答では、PERKのリン酸化を起点とする翻訳抑制、ATF6の活性化やIRE1によるXBP1の活性化に始まるシャペロン蛋白の発現誘導が惹起される。WFS1欠損膵島では、PERKリン酸化の亢進、XBP1mRNAのスプライシング増強によるXBP1蛋白発現の亢進、ATF6の誘導によるシャペロン蛋白の発現増加が認められ、小胞体ストレス応答が亢進していることが観察された。また、小胞体ストレス応答の亢進に伴ってCHOPの発現およびcaspase-3の切断の亢進も認められ、アポトーシスシグナルが活性化されていることも明らかにした。さらに、興味深いことに、WFS1欠損膵島ではBrdUの取り込みが減少しており、β細胞の増殖障害が認められることが明らかとなった。その分子機構に関与するものとして、p21^<cip1>の発現亢進を見出し、また、単離膵島およびMIN6細胞を用いた検討から、小胞体ストレスがp21^<cip1>の発現を転写レベルで増強することを明らかにした。上述の遺伝子は糖尿病発症関連遺伝子の候補となるものである。
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