多因子疾患である乾癬の発症に関わる遺伝要因の解析を多発家系および集団を用いて行った。HLAをはじめ、数々のDNAマーカーを利用した連鎖解析の途上、1p上に位置するDR3遺伝子に変異(細胞外ドメイン部分)が兄妹発症多発家系で見つかった。現在世界中で、1p上に統計遺伝学上乾癬との連鎖があることが相次いで報告されているが、原因遺伝子そのものの同定には未だ至っていない。DR3はアポトーシス誘導に関わるTNF-レセプターの一員であり、既に慢性関節リウマチではその原因遺伝子である可能性が示唆されている遺伝子である。今回、乾癬でもDR3遺伝子の変異が発見されたことは、乾癬の病態がケラチノサイトの過剰増殖とT細胞に由来する免疫異常症であることを考慮すると極めて有意義である。このDR3の遺伝子変異が乾癬全体にどの程度の重み(普遍化)を有した異常であるのかを、日本人(N=200)および韓国人(N=51)の乾癬患者DNAについて解析を急いでいる状況である。 DR3の変異が乾癬の発症に深く関る異常であることが判明すれば、画期的な新しい乾癬免疫治療薬の開発ならびにDNAマイクロアレイを応用した遺伝子診断法の開発が加速されうる。
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