平成14年度「肥満2型糖尿病の成因・病態に関する遺伝要因の解明」の課題名にて特定研究領域(2)の交付を受け、(1)我々が同定したレプチンにより誘導される新規転写因子の解析、(2)ヒト遺伝子解析のためのサンプルの収集、および(3)既知のレプチンシグナル関連遺伝子群の解析を行った。(1)に関しては6種類のalternative splicing産物の全長cDNAのクローニングおよびin situ hybridizationによるて食欲調節に重要な視床下部弓状核でのレプチン依存性の発現を既に確認しているが、機能解析としてneuroblastoma cell lineを用いたNPY遺伝子発現に及ぼす影響、膵β細胞株を用いたインスリン遺伝子発現に及ぼす影響につき検討中である。(2)に関しては、本学倫理委員会にて承認を受け、約300例の肥満および非肥満糖尿病患者、約150例の非糖尿病者について新しい形式でのinformed consentを得てDNAサンプルの収集を行ったところである。(3)に関して、POMC遺伝子の検討では肥満および糖尿病と有意の関連は認めなかった。グレリン遺伝子の多型と肥満との有意な関連性を認めた。また、UCP-2遺伝子のプロモーター領域の多型は肥満とは関連を認めず、インスリン治療や糖尿病発症年齢と関連性を認めた。インスリン治療率との関連は多変量解析やKaplan-Meyer法にても有意であった。本多型のUCP-2遺伝子発現に及ぼす影響を検討するため、膵β細胞株を用いたルシフェラーゼアッセイを行い、本多型が遺伝子発現に関与していることを証明した。
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