本研究では、未解明な一次代謝経路である「非メバロン酸経路」に関与する変異株を単離して、次いでその変異株の相補遺伝子を取得し、その遺伝子産物の酵素としての機能を詳細に解析することにより、本経路の全貌解明を目的としている。2001年度は、非メバロン酸経路に関与する遺伝子の取得を大腸菌を材料に行う計画であったので、それに従ってスクリーニング系を実施し、機能未知遺伝子gcpEとlytB遺伝子を非メバロン酸経路の候補遺伝子として取得することができた。これらの遺伝子は、確かに非メバロン酸経路を持つ原核生物に広く分布していることが分かり、非メバロン酸経路の遺伝子として機能していることが強く示唆された。次にgcpE遺伝子欠損株のユビキノン生合成経路を調べてみると、確かに、非メバロン酸経路ではユビキノンを作ることができず、導入したメバロン酸経路でユビキノンを合成していた。このように、今年度の予定であった非メバロン酸経路の欠損株は2種類取得できたが、予想以上にその変異株の種類は少なかった。すなわち、非メバロン酸経路に関与すると考えられる遺伝子の数は予想外に少なかった。これは、これらの遺伝子だけで非メバロン酸経路が完結するのか?それとも、何らかの予想外の理由のため、これ以上新たな変異株が得られないのか? 、現段階では不明である。今後は、今年度取得した非メバロン酸経路に関与すると考えられるgcpEとlytB遺伝子産物の酵素としての機能を明らかにし、非メバロン酸経路の後半部分の解明を目指す予定である。
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