研究課題/領域番号 |
13206047
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
米澤 一仁 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 教授 (70283900)
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研究分担者 |
吉野 健一 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助手 (90280792)
原 賢太 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助手 (70294254)
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キーワード | プロテオーム / 質量分析計 / ラパマイシン / mTOR / シグナル伝達 / 結合蛋白質 / 遺伝子クローニング / 蛋白質翻訳後修飾 |
研究概要 |
哺乳動物でのシグナル伝達機構を網羅的に明らかにするためのプロテオーム的研究手法の基盤研究を行うため、我々が以前より研究を行っている『哺乳細胞において、次世代の免疫抑制剤であるラパマイシンの漂白蛋白mTORキナーゼを解するシグナル伝達系が、細胞を取り巻く環境中のアミノ酸バランスを感知し、細胞増殖因子と共に、細胞機能を制御している』という生命現象を対象とした実験を行った。研究経過を以下に示すと、(1)まず、ラパマイシン処理により変動する蛋白質の同定を、2次元電気泳動法で試み、蛋白質同定に最適な2次元電気泳動法の条件の確立に成功した。が、蛋白質スポットの量の変動の再現性を得るのに困難を極め、結局この方法による変動蛋白質の同定は断念。(2)そこで、mTORに結合する新規蛋白の精製とその同定を試みた。アフィニティーカラム等を用いた蛋白精製により、mTORに結合している可能性のある複数の蛋白の同定に成功。(3)そのうちのp150を質量分析装置を用いたマスフィンガープリンテイング法で分析し、遺伝子を同定。その全長cDNA配列の決定を行い、機能解析のために発現ベクターの作成、抗体の作成を行った。(4)アミノ酸配列の結果から、p150はC末端側にWD-repeat構造を持つ蛋白であることが判明。(5)機能解析の結果、(1)mTORとp150は細胞内で恒常的に結合。(2)p150はmTORのリン酸化酵素活性を4〜5倍上昇させる。(3)p150は翻訳に関わるp70S6kinas6(p70)やeIF-4EBP1(4EBP1)とも結合し、mTORと4量体を形成。(4)p150の過剰発現により、細胞内でp70と4EBP1の活性化/リン酸化が強く阻害される。以上の結果は、p150はmTORに対するscaffold蛋白として機能し、mTORからp70や4EBP1へのシグナル伝達に必須の分子であることを示している。
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