研究概要 |
平成13年度の成果 (1)基質であるグルコースの一部を炭素同位体で標識し、シアノバクテリア細胞を用いたバイオリアクター実験を行なった。培養条件を変えて実験を行い、培養途中で採取したサンプルの細胞内アミノ酸の同位体分布をNMRおよびGC-MSを用いて測定し、プロトタイプで開発したプログラムによって細胞内代謝流束分布を求めた。その結果、ペント-スリン酸経路やカルビン回路、解糖系、TCA回路の代謝流束分布が培養条件によってどのように変化するかを定量的に把握することができた。さらに、RT-PCRを利用した遺伝子発現解析、および2次元電気泳動を利用したタンパク質発現解析を行い、上記代謝流束分布の解析結果と比較検討を行った。 (2)野性株の大腸菌K12株およびphb遺伝子を組み込んだ温度誘導型組換え大腸菌のプロテオーム解析を行い、培養環境の変化やPHBの生成がタンパク質の発現に及ぼす影響を調べた。 今後の課題 (1)NMRのデータだけが利用できる場合、GC-MSだけが利用できる場合、NMRとGC-MSの両方が利用できる場合のそれぞれの場合について、細胞内代謝流束分布を計算するソフトを開発する。 (2)遺伝子破壊株を作成し,遺伝子発現、タンパク質発現、および代謝流束分布との関係を実験的に調べる。 (3)2次元電気泳動について、TOF-MSを利用していくつかのスポットの同定を行う。 (4)細胞内代謝物濃度およぴ酵素活性を網羅的に測定して、代謝ネットワークのモデリングを行う。
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