研究概要 |
パーキン蛋白はUbiqutin ligaseでことが明らかにされている.従って,劣性遺伝性パーキンソン病ではloss-of-function的にUbiqutin ligase活性が低下或いは消失し,パーキン蛋白の基質が分解されずに蓄積することで神経細胞死が起こると推定される.我々はシナプス小胞上に存在するパーキン蛋白の特性を考え同じようにシナプス小胞上に存在するCDCrel-1に注目し,パーキン蛋白のexocytosisへの効果を検討した.ハムスターinsulinoma由来HIT-T15細胞を使い,ヒトGrowth Hormoneをtracerに野生型,変異型パーキン蛋白のexocytosisへの効果を検討した.結果はT415Nの変異パーキン蛋白は濃度依存性にexocytosisを抑制した.このことはパーキン蛋白がexocytosisに影響を与えていることを示す. 次にParkin全長にたいするantisense adeno virusを作成しretinoic acidにより分化誘導したヒトneuroblastoma cellに感染させ,内因性のParkin proteinのknock down解析を行った.感染した細胞は,adeno virus titer依存的にviabilityの低下を認めた.Viabilityの低下した細胞はTUNEL陽性でありCaspase9,3,6,7の活性化が認められapoptosisであることが証明された.またNeuroblastoma細胞以外のヒト由来の細胞系では同様の結果は認めなかった.Knock downによるapoptosisは神経系の培養細胞に特異的であり,またapoptosis signalはmitochondriaに由来しており細胞死の原因がmitochondriaの機能不全に起因するものであることが推測される.
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