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2002 年度 実績報告書

C型肝炎ウイルスによる肝発癌機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 13214018
研究機関東京大学

研究代表者

小池 和彦  東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (80240703)

キーワード肝細胞癌 / トランスジェニックマウス / コア蛋白 / β酸化 / 脂肪化 / DNA障害 / アポリポ蛋白
研究概要

肝脂肪化を経て肝細胞癌を発生するC型肝炎ウイルス・コア遺伝子導入トランスジェニックマウス(以下、コアマウス)を用いて研究を行なった。
(1)マウスとヒトのサンプルの解析によって、C型肝炎時に肝に蓄積する脂肪は、単純性脂肪肝の際に蓄積する脂肪とは組成が異なることが判明した。C型肝炎と脂肪代謝との関連性を示し、C型肝炎の病態の解明に繋がる結果といえる。
(2)コアマウスにおける肝脂肪化の原因のひとつは、肝からのVLDL(very low density lipoprotein)の分泌の低下にあることが明らかになった。これは、肝内のMTP(microsomal triglyceride transfer protein)活性の低下によることも明らかになった。
(3)コアマウスにおいては、組織学的な炎症像なしに活性酸素(reactive oxygen species, ROS)の発生が増加していることが判明した。C型肝炎における肝発癌のメカニズムのひとつと考えられる。また、コアマウス肝とヒト患者肝において、サイトカインTNF-αとIL-1βの発現が増加していることもこの病態に関与していることも明らかとなった。
(4)コアマウスとヒトアポA2遺伝子トランスジェニックマウスを交配することにより、コアマウス肝中の脂肪が減少し、肝における活性酸素(ROS)の産生も減少した。コア蛋白がアポA2蛋白と結合して、肝からのコア蛋白の分泌を促すことが原因である。このことは、C型肝炎の肝病変と脂質の強い関連性を示すとともに、活性酸素発生の低下による肝発癌抑制という治療への道を切り拓くものである。
(5)C型肝炎ウイルス・コア蛋白によるレチノイドX受容体α(RXR-α)への結合とその機能修飾が明らかになった。RXR-αのC型肝炎病態への関与が推定される。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Koike K, et al.: "Role of hepatitis viruses in hepatocarcinogenesis"Oncology. 62. 29-37 (2002)

  • [文献書誌] Perlemuter G, et al.: "Hepatitis C virus core protein inhibits microsomal triglyceride transfer protein activity and very low density lipoprotein secretion : a model of viral-related steatosis"FASEB J. 16. 185-194 (2002)

  • [文献書誌] Tsutsumi T, et al.: "Interaction of Hepatitis C Virus Core Protein with Retinoid X Receptor-a Modulates its Transcriptional Activity"Hepatology. 35. 937-946 (2002)

  • [文献書誌] Tsutsumi T, et al.: "Intrahepatic cytokine expression and AP-1 activation in mice transgenic for hepatitis C virus core protein"Virology. 304. 415-424 (2002)

  • [文献書誌] Koike K, et al.: "Role of hepatitis C virus in the development of hepatocellular carcinoma : Transgenic approach to viral hepatocarcinogenesis"J Gastroenterol Hepatol. 17. 394-400 (2002)

  • [文献書誌] Koike K, et al.: "Hepatitis C virus and hepatocarcinogenesis"J Gastroenterol. 37. 55-64 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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