研究課題
特定領域研究
肝脂肪化を経て肝細胞癌を発生するC型肝炎ウイルス・コア遺伝子導入トランスジェニックマウスを用いて、肝発がん機序の解析を行なった。(1)HCVコア蛋白により肝細胞癌が発生するマウスモデルを用いて、C型肝炎における肝発癌の機序が相当程度解明された。(2)コアマウスにおいては、組織学的な炎症像なしに活性酸素(reactive oxygen species, ROS)の発生が増加していることが判明した。C型肝炎における肝発癌のメカニズムのひとつと考えられる。また、コアマウス肝とヒト患者肝において、サイトカインTNF-αとIL-1βの発現が増加していることもこの病態に関与していることも明らかとなった。(3)HCVによる酸化ストレス産生の起源としては、ミトコンドリア電子伝達系が推定された。ミトコンドリアのフロテオーム解析を行ったところ、細胞増殖への関与やミトコンドリアシャペロンとして働くprohibitinのコア蛋白による発現充進が明らかとなった。また、antioxidantに関わるMnSOD、電子伝達系を担うcomplex III, TP synthaseなどの発現変化を見出した。(4)C型肝炎における肝脂肪化の原因は、β酸化の障害に加えて肝細胞からのVLDLの分泌障害も要因であることが明らかとなった。ヒト患者においても、アポリポ蛋白を中心とした脂質代謝異常が存在することも明らかになった。(5)また、コア蛋白はレチノイドX受容体αと結合し、その機能を修飾していることも証明した。この現象はコア遣伝子トランスジェニックマウスにおいても確認され、C型肝炎における脂質代謝異常から肝発癌へと至る病態のひとつの経路であることが示唆された。(6)C型慢性肝炎とインスリン抵抗性の関連性が確立された。コアマウスでは、1〜2ヶ月齢の若齢から正常マウスに比べて有意なインスリン抵抗性を示した。インスリン抵抗性は肝由来であり、インスリン受容体基質(IRS)-1のチロシンリン酸化の抑制が認められ、肝におけるインスリンシグナル伝達が障害されていることが示された。肝線維化、肝発癌等の慢性C型肝炎の肝病態に強く関わっていると推定される。
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