我々はポリコーム遺伝子群(PcG)の一つrae28を独自に単離し、遺伝子欠損マウスを作成することによって、PcGが一度設定された遺伝子の転写状態を細胞分裂後も維持するエピジェネティックな遺伝子発現維持機構を構成することを明らかにしてきた。本研究では、rae28遺伝子欠損マウスを用いて、rae28がB細胞の発生に必須な役割を果たしていることを明らかにするとともに、ヒトの小児B前駆細胞型急性リンパ性白血病患者の約8%において白血病細胞におけるrae28の発現に異常が存在することを見つけた。さらに、造血幹細胞の自己複製にrae28が重要な役割を担っていることを遺伝子欠損マウスを用いた実験で明らかにした。現在、PcGによるB細胞と造血幹細胞の制御機構の解明を分子レベルで進めるとともに、造血幹細胞の動態制御を目指した実験系の確立を目指している。
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