研究概要 |
(1)NKT細胞を特異的に活性化するα-GalCerの抗転移効果は、NKT細胞自身の細胞傷害活性によらず、産生されるIFN-γ及びそれによって2次的に活性化されるNK細胞由来のIFN-γによって担われることを示した。また、IFN-γ依存性の最終的な抗腫瘍エフェクター機序として、TRAIL及び腫瘍血管新生阻害の関与を明らかにした。 (2)NK細胞上のCD27及びCD28を介した腫瘍細胞上のCD70及びCD80の認識は、NK細胞による腫瘍の拒絶を増強するのみならず、IFN-γ産生を介して腫瘍特異的なメモリーT細胞(CTL,Th1)の誘導に動くことを示した。 (3)正常マウスの肝臓内のNK細胞にIFN-γ依存性に発現しているTRAILが肝転移の抑制に働いていることを示した。また、IL-12やα-GalCerといったIFN-γ inducerの投与により脾臓や肺のNK細胞にも現誘導されるTRAILは、これらによる抗転移作用の一機序であることを示した。さらに、TRAILはethylcholanthreneによるfibrosarcomaの発生やp53+/-マウスでの腫瘍の自然発生に対して抑制的に働き、NK細胞及びIFN-γ依存性の腫瘍監視機構の主要なエフェクター分子であることを示した。 (4)IFN-γ依存性の単球/マクロファージによる腫瘍細胞傷害にTNF及びTRAILの他にTWEAKが関ることを見い出した。さらに、TWEAKはDR3ではなくFn14を介して一部の腫瘍細胞にcaspase依存性のアポトーシスあるいはcathepsinB依存性のネクローシスを誘導することを示した。 (5)ヒトHLA-Gのマウスホモログと目される新規MHCクラスI分子blastocyst MHCが、TAP欠損腫瘍細胞においてQa-1bの発現を充進し、NKG2A/CD94を介してNK細胞による拒絶を抑制することを示した。 (6)マウスTRAIL受容体mDR5に対する抗体が、TRAIL感受性腫瘍を退縮するのみならず、二次的に腫瘍特異的なCTLを誘導し、TRAIL抵抗性腫瘍をも排除することを示した。
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