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2002 年度 実績報告書

がんの発生発達に関わるイノシトールリン脂質情報伝達系の解析

研究課題

研究課題/領域番号 13216019
研究機関東京大学

研究代表者

福井 泰久  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00181248)

研究分担者 黒崎 知博  関西医科大学, 医学部, 教授 (50178125)
キーワード印環細胞がん / PI3キナーゼ / 細胞間相互作用 / 悪性腫瘍 / p38MAPキナーゼ / 点変異 / シグナル伝達 / ErbB3
研究概要

PI3Kからp38MAPキナーゼにいたるシグナル伝達系を明らかにした。Rac1は両者の中間に存在する可能性が高いので、これを検討した。活性型Rac1はHCC2998細胞において細胞間接着を喪失させた。また、一方でRac1のdominant negative変異体はPI3Kによる細胞間接着の喪失を阻害した。このことから、少なくともHCC2998細胞の印環細胞がん様への変化にはPI3K-Rac1-p38MAPキナーゼの経路が重要であることが示唆された。一方で、p38MAPキナーゼ系の活性化では細胞間接着はなくなるものの印環ができにくいことが観察された。これらのことから、p38MAPキナーゼ系は細胞間接着に関与しており、分泌亢進には関与していないことが想定された。
HCC2998細胞のPI3Kについて検討した。野生型p85αを発現させ、細胞の変化を観察した。活性型PI3Kを発現させたときよりはるかに時間は要するが、細胞間接着が失われ、細胞のviabilityが低下することが観察された。印環細胞がんではErbB2/ErbB3ヘテロ複合体受容体が活性化されていてPI3K以下のシグナル伝達系を活性化していることがわかっているので、p85αを発現して死にやすくなった細胞にNTAC(ErbB2/ErbB3ヘテロ複合体受容体のリガンド)を作用させたところ、弱いながら細胞増殖因子を支持した。また、NUGC4、KATOIII、HSC39などの印環細胞がん株の培養上清にはNTACと同様の活性があったが、他の細胞株培養上清にはこのような活性は見出せなかった。以上のことから、印環細胞がんの形成にはErbB2/ErbB3ヘテロ複合体受容体およびそのリガンドのオートクラインなメカニズムが想定された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Kobayashi, M., et al.: "Evidence that the ErbB3/PI3-kinase pathway contributes to formation of signet-ring cell carcinomas"Cancer Res.. (in press).

  • [文献書誌] Onishi, M., et al.: "Role of phosphatidylinositol 3-phosphate in formation of forespore membrane in Schizosaccharomyces pombe"Yeast. (in press).

  • [文献書誌] Hamaguchi, N., et al.: "Identification of Ribosomal Protein S3a as a Candidate for a Novel PI3-kinase Target in the Nucleus"Cytotechnology. (in press).

  • [文献書誌] Onishi, M., et al.: "Inportance of phosphatidylinositol 3-phosphate in sporulation of Schizosaccharomyces pombe"Biosci.Biotechnol.Biochem.. (in press).

  • [文献書誌] Morishita, M., et al.: "Phosphatidylinositol 3-phosphate 5-kinase is required for the cellular response to nutritional starvation and mating pheromone signals in Shizosaccharomyces pombe"Genes to Cells. 7. 199-215 (2002)

  • [文献書誌] Mori, Y., et al.: "Transient receptor potential 1 regulates capacitative Ca^<2+> entry and Ca^<2+> release from endoplasmic reticulum in B lymphocytes"J.Exp.Med.. 195. 673-681 (2002)

  • [文献書誌] Patterson, R.L., et al.: "Phospholipase C-γ is required for agonist-induced Ca^<2+> entry"Cell. 111. 529-541 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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