研究課題/領域番号 |
13216019
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
福井 泰久 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00181248)
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研究分担者 |
黒崎 知博 関西医科大学, 医学部, 教授 (50178125)
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キーワード | 印環細胞がん / PI3キナーゼ / 細胞間相互作用 / 悪性腫瘍 / p38MAPキナーゼ / 点変異 / シグナル伝達 / ErbB3 |
研究概要 |
印環細胞がんにおけるPI3Kからの下流シグナルについて検討した。PI3K結合タンパク質を印環細胞がん株NUGC4にて検索したところGab1を検出した。Gab1はPI3K活性化因子として知られているが、本細胞でその状態を検討したところ、チロシンリン酸化が亢進していることが判明した。そこで、Gab1のRNAiを用いてGab1ノックダウンを試みた。その結果、印環細胞がんの指標のひとつであるムチンの分泌亢進が著しく阻害された。このことから、Gab1が印環細胞がん発生の原因の一端を担っていることが示唆された。 われわれは印環細胞がん株の多くのものでErbB2/ErbB3複合体が活性化され、そのためにPI3Kが活性化されておることを見出している。そこで、ErbB2やErbB3のRNAiを用いてこれらの遺伝子のノックダウンを試みた。ErbB3の効率的抑制に成功した結果、ムチンの分泌亢進が顕著に抑えられた。しかし、細胞増殖や細胞の形態には影響は見られなかった。当初、ErbB3の活性化は細胞の細胞間相互作用を喪失を誘導することが考えられたので、そのノックダウンは細胞の平坦化をもたらすと思われたが、そのような効果は見られなかった。現在その原因を探りつつ、これらのRNAiの治療薬としての効果についての検討を考慮しているところである。 そのほか、印環細胞がんの診断薬の候補としてErbB3のリン酸化を検出できる抗体の制作を試みた。ウエスタンレベルでは良好な結果が得られているので、細胞染色にてリン酸化ErbB3を検出できるように感度を向上させてゆきたい。
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