細胞周期のチェックポイント機構の一端を明らかにするため、哺乳動物の制御機構と同時にその解明のためのモデルとして分裂酵母の研究も進めている。単離同定された遺伝子とこれまでに明らかにされている制御因子との位置関係の解明に力を注いでいる。 今年度は、分裂酵母のΔmik1 wee1-50二重変異株を相補するrdp1と名付けた遺伝子の機能解析を進めた。Rdp1遺伝子産物は、分子量24kDの蛋白質で、その破壊株は、低温感受性を示し、cdc2キナーゼの15位のチロシンが脱リン酸化されない状態でG2期に停止した。この破壊株にcdc2キナーゼの15位のチロシン残基をフェニルアラニン残基に置換したcdc2-F15を発現させるとG2/M期の進行はできるようになるが、M期に入るタイミングが早まり致死となった。しかし、cdc25遺伝子を含む他のG2/M期を進める遺伝子を大量発現させてもこの低温感受性を抑圧できなかった。一方、Rdp1遺伝子破壊株の低温感受性は、低温でUVによりチェックポイント異常をおこすcdc2-22変異株と掛け合わせることにより抑圧された。更に、rdp1破壊株は、rad1変異やcdc2-3w変異のチェックポイント異常をかなり回復できることが明らかとなった。これらのことから、Rdp1遺伝子産物は、チェックポイントシグナルによるcdc2キナーゼの15位のチロシンの脱リン酸化の制御に深く関与していることが示唆された。
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