研究概要 |
MLL-AF4は乳児白血病でもっとも高頻度にみられ、しかも最も予後が悪いt(4;11)により形成されるキメラ遺伝子で、AF4は我々がins(5;11)から単離したAF5q31と高い相同性を持ち、同じfamilyに属すると考えられた。今年度我々は新たに2才女児に発症したALLのt(2;11)(q12;q23)の解析を行い、AF4ファミリーの一つであるLAF4遺伝子がMLLと融合していることを見いだした。LAF4遺伝子の切断点もAF4,AF5q31とほぼ同じ場所に存在し、MLL-AF4,MLL-AF5q31と類似のキメラ蛋白を形成し、同様の機序で白血病化に関与していると考えられた。 MLL-AF4およびMLL-AF5q31により誘導される遺伝子を同定するために、両者を発現する白血病細胞について遺伝子発現プロファイルを検討した。MLL-AF4を発現する新鮮検体8例とMLL-AF5q31を発現する新鮮検体2例の白血病細胞の遺伝子発現プロファイルをAffymetrix社のGene Chipを用いて検討した。対象として同じ乳児ALLでみられるt(11;19)のMLL-ENLを発現する新鮮検体と、t(12;21)(ETV6-AML1)およびt(1;19)(E2A-PBX1を有する新鮮検体を検討した。その結果、MLL-AF4,MLL-AF5q31とMLL-ENLの発現プロファイリングは非常によく似ていたが、ETV6-AML1,E2A-PBX1とは遺伝子発現プロファイルによってもはっきり区別することが可能であった。現在発現が変化している個々の遺伝子について詳細に検討している。またMLL-LAF4についても同様の検討を行っている。AF5q31についてはノックアウトマウスを作成中であり、発生学的な役割についても検討する予定である。
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