研究課題/領域番号 |
13216070
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
山村 博平 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90030882)
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研究分担者 |
高野 智子 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30226807)
定 清直 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (10273765)
柳 茂 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (60252003)
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キーワード | Syk / 癌 / 血管内皮細胞 / 細胞増殖 / 細胞移動 |
研究概要 |
チロシンキナーゼSykはBリンパ球などの発生・分化の制御に深く関与している。一方、我々はSykが非血球系組織において幅広く発現していることを見いだし、Sykがこれらの細胞の増殖・分化に密接に関与をしていることを示唆した。さらにごく最近、Sykが乳癌細胞の悪性化を抑制することがNature誌に発表され、Sykによる癌遺伝子治療への応用性について注目を浴びている。実際、我々もSykが肝癌細胞の悪性化を抑制すること予備的に見出した。これらの結果はSykが単に免疫受容体からのシグナル伝達に関与していることのみならず、様々なシグナルにかかわる多機能性分子であることを示唆しており、とりわけ細胞増殖およびがんの形成過程におけるチロシンキナーゼSykの機能および臨床応用への検討が急務である。今回、我々はSykが肝細胞、血管内皮細胞、繊維芽細胞、神経細胞など非血球系組織においても幅広く発現していることを見いだしたので、これらの細胞における増殖およびがんの形成過程におけるSykの役割を検討した。その結果、Sykが血管内皮細胞の増殖や移動に関与していることおよび生体内で血管内皮細胞の形態形成において必須であることが明らかとなった。さらに、ある種の良性腫瘍の患者から樹立した線維芽細胞において炎症性ケモカインの分泌制御機構にSykが重要に関与していることが明らかとなった。これらの結果より今後、Sykを標的とした癌治療への臨床応用が十分に可能であると判断された。
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