研究課題/領域番号 |
13216084
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
宮崎 香 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 教授 (70112068)
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研究分担者 |
東 昌市 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助手 (10275076)
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キーワード | プロテアーゼ / MMP / 細胞外マトリックス / がん転移 / APP / MT1-MMP / ラミニン5 / ラミニン6 |
研究概要 |
マトリックスプロテアーゼによる細胞外マトリックス(ECM)分子の機能修飾、およびがん細胞の浸潤・転移への関与について研究を行った。上皮基底膜の主要成分であるラミニン5(LN5:α3/β3/γ2)は細胞の接着と運動を効率的に促進する。BMP-1様酵素によってLN5のα3鎖C末端に存在するG4-5ドメインが除去されることによりLN5が低活性型(前駆体型)から高活性型(成熟型)へと変換されること、また除去されたG4-5ドメインはヘパラン硫酸結合能を介して前駆体LN5をECMに沈着させる役割を果たすことが明らかになった。プロテアーゼの作用にによるこのようなLN5の機能変換は基底膜および間質へのがん細胞の浸潤に寄与すると考えられる。一方、腫瘍血管基底膜に蓄積するIGF結合蛋白質様分子であるアンジオモジュリン/IGFBP-rP1(AGM)が膜結合型セリンプロテアーゼの一種であるマトリプターゼ(Mat)により限定分解されること、これに伴いAGMの細胞接着活性が増大し、IGF/insulin結合活性が消失することなどが判明した。さらに、Matが多様なヒトがん細胞で発現し、可溶性酵素として分泌されることや、Matをヒト胃がん細胞に強制発現させるとヌードマウスでの腫瘍増殖と腫瘍血管新生が著明に促進されることが判明した。この効果はMatによるAGMの分解と関係する可能性が考えられる。以上の結果は細胞外蛋白質に対するプロテアーゼの作用ががん細胞の増殖や浸潤に大きな影響を与えることを示唆する。
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